海底の地形は複雑で、海流も把握が難しいうえに、植物と違って魚は泳ぎます(ので汚いところで過ごした魚は当然汚くなります)し、獲る方も動きますので、陸揚げ港がどこだと言っても太平洋側の魚を食べる人は「脇が甘いとか無防備とか脳天気だ」と言われても致し方無いでしょう。
『海にもホットスポット 海底土汚染、宮城・茨城沖に』【1/30 日経】<<追記>>
東京電力福島第1原子力発電所から放出された放射性物質による海の汚染の実態が、海底土の調査で明らかになってきた。宮城県や茨城県沖には、放射性物質の濃度が周辺より高い「ホットスポット」が点在する。海流や河川からの流入が複雑に絡み、まだら模様の汚染を引き起こしていると専門家はみる。現段階では調査地点が限られており、政府は今後、海洋汚染の調査を拡充する。
文部科学省などは東北沿岸で海底土を定期的に採取し、放射性物質の濃度を測っている。海底土の濃度に法的な基準値はなく、陸地の汚染土壌に比べて濃度は低いが、海底にすむ生物などへの影響が懸念されている。
25日に公表した昨年12月分の調査結果によると、濃度の分布は一様ではなかった。宮城県の牡鹿半島沖で放射性セシウム137が同360ベクレルと、より原発に近い場所に比べて10倍以上の地点がある。茨城県高萩市沖の調査地点も同300ベクレル前後と、その北側の地点よりも高濃度だ。
金沢大学の長尾誠也教授は「セシウムは鉱物などの細かい粒子に吸着されて海の中を移動する。粒子が堆積しやすい地形では濃度が高くなる」と指摘する。海流や海底地形の影響で、セシウムの分布はまだら模様になったようだ。
海へ放射性物質が流入する経路も複数あり、汚染の状況を複雑にしている。事故直後は、大気中に放出された放射性物質が直接海に落ちたり、放射性物質を含んだ汚染水が原発から流れ込んだりした。陸地に降った放射性物質が雨によって洗い流され、河川に集まって海へ流れ込む経路もある。原発からの放出が減った今でも、河川を通じた流入は続いているとみられ、「河口付近では、今後も濃度が徐々に高くなっていく可能性がある」(長尾教授)。
陸地ではセシウムが沈着してとどまるが、海のセシウムは絶えず場所を変えていく。例えば、茨城県ひたちなか市沖の調査地点は、昨年7月時点で1キログラム当たりセシウム137が180ベクレルだったが、9月の調査では約3倍の520ベクレルに増え、12月には35ベクレルに急減した。
海洋生物環境研究所の御園生淳研究参与は「沿岸部の海流は複雑で、季節によって北向きか南向きかも変わる。堆積したセシウムがすぐ別の場所に動いてしまう場合がある」と話す。濃度が下がった海域でも調査をやめずに継続する必要性がありそうだ。
日本原子力研究開発機構の試算によると、事故後1カ月半の間に海に流出したセシウム137の総量は3600テラ(テラは1兆)ベクレル。主に陸地が汚染された1986年のチェルノブイリ原発事故と違い、これだけ大規模な海の汚染は世界的にも例がない。
政府や東電、福島県などで構成するモニタリング調整会議は24日、「海への放射性物質の影響は社会的関心が高まっている」として、海洋汚染の調査体制を強化する方針を決めた。
航空機を使って上空から調査できる陸上と違い、海の汚染は調査地点が限られ、コストや時間もかかる。海産物や生態系への影響を見極めるには、長期間にわたるきめ細かな調査がいると専門家はみている。
昨日午前中にネット上に載った以下の記事は誤報だったのでしょうか? 既に削除されています。こういうの困るんですよねー。
『給食のエリンギからセシウム 児童が食べた後に判明 【1/39 共同】
沖縄本島南部の小学校給食に使われた長野県産のエリンギから、東京電力福島第1原発事故由来と断定できる1キログラム当たり1・12ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが29日までに分かった。キノコ類の国の暫定基準値は1キログラム ...』
0 件のコメント:
コメントを投稿