2013-12-11

『社説:新エネルギー計画 原発回帰は許されない』 【12/10 毎日】

ラドン安倍率いる原発乞食の自民党ですから、充分予想されたエネルギー基本計画素案です。命(や体)を売る輩にこの国を任せておくわけには行きません。党員全員が福島に移住し、新幹線で通勤してもらいましょう。それでも新増設するなら是非東京湾で
『社説:新エネルギー計画 原発回帰は許されない』 【12/10 毎日】

安倍政権は、福島の悲劇をなかったことにするつもりなのか。

政府が中長期的なエネルギー政策の指針になるエネルギー基本計画の素案をまとめた。民主党政権の「原発ゼロ」路線を覆し、原発重視の姿勢をはっきり打ち出した。

しかし原発の安全神話は崩れた。経済性にも疑問符がつく。核のゴミの処分問題も解決の糸口さえ見えない。原発依存からは脱却すべきである。この政策転換は容認できない。

素案は、基本計画を議論している経済産業省の審議会で示された。年内に成案としてまとめ、年明けの閣議決定を目指すという。

◇代替電源の開発を促せ

基本計画は、東京電力福島第1原発の事故をきっかけに見直しが始まった。民主党政権は昨年、計画の基になる「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめ、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との方針を示した。そのために原発の40年以上の運転は認めず、新設・増設も行わないという原則を決めた。

今回の素案は一転して原発を「重要なベース電源」と位置付けた。将来的に依存度を下げていく考えは示したものの、長期的に一定割合を確保すると明記した。一方で「新増設は行わない」という原則は盛り込まず新増設の余地を残した。「原発ゼロ」はご破算にしたということだ。

電力を安定的に供給するとともに燃料費を抑制し、地球温暖化を防ぐためには原発が欠かせないというのが、原発活用に前向きになる政府の理屈だ。

原発を補うために火力発電所の稼働率が上がり、天然ガスや石油などの燃料費で年間3兆円以上の負担増になっている。それが電気料金の値上げとなって企業や家庭に跳ね返る。経済的優位性は、原発存続論の大きな根拠といえる。

しかし、安全神話の崩壊で目先の経済性を優先する考え方には大きな疑問符がついた。重大事故が起きれば、国土の一部が利用不能になって損なわれる。被害者への賠償や除染などに膨大な費用がかかる。東電でさえ背負いきれず、結局国民の税金である国費を投入する事態になった。原発の優位性は、そんな危うさの上に乗っているに過ぎない。

確かに、燃料費が高止まりしている中で即時に原発を全廃すれば、国内経済にダメージを与えるおそれがある。したがって、高度の安全性確認に基づく再稼働は認めながら、40年原則を堅持し新増設を認めないことで、できるだけ速やかに脱原発を目指すことが望ましい。その間、燃料調達コストの引き下げや効率の高い火力発電の開発などで電気料金を抑える努力を続ける必要がある。

原発事故後は、原発の代替電源として高効率の火力発電や再生可能エネルギーへの投資を促す計画が求められていたはずだ。しかし、素案は将来的な電源比率の目標を示していない。これでは大手電力や新規参入事業者は、投資計画を立てがたい。結果的に安定供給を原発に頼む構造が温存されかねない。

原発から出る「高レベル放射性廃棄物」の最終処分問題も残る。素案は「国が前面に立って取り組みを進める」との方針を盛り込んだ。自治体が処分候補地として手を挙げるのを待つ方式から国が自ら候補地域を示す方式に転換するという。

◇国民不在の審議過程

現世代の責任として国が最終処分に積極的に取り組むのは当然のことだ。しかし、候補地選定が難しいことに変わりはない。小泉純一郎元首相の「トイレなきマンション批判」に基づく「原発ゼロ」発言をかわすための方策とも思える。

再稼働を進めるために積極姿勢を見せても、根拠が乏しければ国民の理解は得られまい。最終処分問題の解決のためにも原発を減らしていく具体的な計画を示すべきだ。

「核燃料サイクル」を原発事故前と変わらず「着実に推進する」としたことも問題だ。日本は再処理済みのプルトニウムを国内外に44トンも所有している。原爆5000発分に相当する。消費するあてもなく、プルトニウムを生み出す核燃料サイクルを続ければ国際的な疑念を招くおそれもある。

実用化のめどが立たない高速増殖原型炉「もんじゅ」や再処理工場の安全性、技術的な困難さなどを考え合わせれば、核燃料サイクルにはこの段階で幕を引くべきだ。

確かに安倍晋三首相は、前政権の原発政策を見直すと明言していた。しかし、一方で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」という目標も示していた。政権交代をもたらした昨年末の衆院選で自民党が掲げた公約でもある。

前政権の政策は半年以上にわたる審議会での議論やさまざまな国民的議論を踏まえて決められた。簡単にほごにすることは認められない

素案をまとめた審議会の委員は原発推進・維持派が大多数を占めた。「原発維持」の結論ありきだったとさえ思える。幅広い国民の意見を聞かず、審議会のみに議論を委ねる方式の欠陥を露呈したともいえる。国民の声を真摯(しんし)に聴く姿勢がなければ、政策への信頼は得られない。

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