2013-07-02

櫻井よしこ (4) またまた経済的理由を基にした原発推進論

特に後半が冗長ですが、全文をコピペしておきます。同様の文章を先週の週刊新潮で目にされた方もいらっしゃると思います。半年経っても依然として原発推進です。

オカシな部分は太字にしましたが、要約すると、原子力規制委員会の活断層を理由とした再稼動是非審査が気に入らないということです。安全オバサンですから、被曝者の苦しみや、事故の真因の解明とかには全く興味が無いようで、大丈夫? という内容です。筆者は彼女の原発意外の論の展開にも全て反対という訳ではありませんが、ちょっとこの内容はヒドいですね。まぁ、所詮は評論家ですから。
『【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】 国力殺ぐ原発新規制』 【7/1 産経】

原子力規制委員会の下で、日本の原子力事業が潰されていくのは国益に適(かな)わない。

最も緻密かつ科学的議論が必要な原子力発電の分野で、いま、科学が軽視され、議論が尽くされず、思い込み先行で結論が導き出され、国力が殺(そ)がれていくかのようだ。

原子力規制委員会のまとめた原発の安全性に関する新規制基準を見ての思いである。

原発問題は日本のエネルギー戦略の根幹に関わる重要問題だ。日本以外の国々は、たとえば中国が将来230基を超す原発建設を計画するなど、諸国は近未来のエネルギー戦略として凄(すさ)まじい勢いで原発建設を予定している。

日本こそ原発の安全性を高める技術を磨き、規制委員会による監視体制を確立し、バランスのとれた原発利用を推進しなければならない。使用済み核燃料の処理まで含めた原子力利用の全体戦略を構築し、安全技術を高め続けることが必要だ。

だが現実は規制強化ばかりが先行中だ。前述の新規制基準は7月8日に施行されるが基本的な設計基準、原則40年に限った原発運転期間、炉心溶融など過酷事故への対策、地震・津波対策、活断層の有無の確認など、どれも非常に厳しい内容である。これでは、日本の全原発が2030年代に廃炉にされかねない

昨年末の衆院選で大勝した安倍晋三首相は、民主党の原発ゼロ政策の白紙撤回を表明した。しかし皮肉にも、ほとんどの国民から見放されて大敗した民主党の、とりわけ菅直人元首相の置き土産といってよい原発ゼロ政策が、自民党政権下で実現しようとしているのである。

菅氏は、安倍首相の白紙撤回を次のように否定する。「そう簡単に(元に)戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」

これは今年4月30日の「北海道新聞」で菅氏が語った言葉だ。氏は日本原電敦賀原発の活断層問題等を具体例としてあげた。

新基準は活断層が露頭する敷地の上に原子力発電所を建設してはならないとしており、40万年の昔に遡(さかのぼ)って敷地を調べ、活断層の存在が明らかになれば、菅氏の指摘どおり、原発は廃炉になる。

だが、40万年前の地層を明確に判断できるのか。ちょっと想像してみよう。現在地球に君臨している私たち人類は「新人(しんじん)」と呼ばれるが、私たちが一人のアフリカの女性を母として生まれたのが約20万年前である。日本列島に豊かな文化を残した縄文人が生きたのは、1万2千年から2400年前だ。

縄文人どころか、新人が生まれるより遥(はる)か彼方(かなた)の太古の昔が40万年前である。果たしてそこまで遡って活断層の有無を調べる科学的正当性はあるのか。

この点について広島大学大学院の奥村晃史教授ら少なからぬ専門家が疑問を呈している。ならば、規制委員会はまず、国民に対して、また事業者に対して、明確かつ合理的に説明する責任がある。

規制委員会の田中俊一委員長以下、5名の委員は、民主党時代に選ばれ、後に自民党も賛成して、政府から独立した強い権限を有する三条委員会となった。その強大な権限ゆえに、5人の委員は専門家として、また良識の人として日本の未来に大きな責任を有している。

現在、大きな焦点となっている活断層について、田中委員長は自ら判断するというより、島崎邦彦委員長代理の判断を重視し、島崎氏は主として中田高広島大学名誉教授、渡辺満久東洋大学教授、鈴木康弘名古屋大学教授ら、有識者の判断を重視するという構図が生じている。

福井県にある関西電力の大飯原発3、4号機について、規制委員会は6月下旬、新規制基準の施行後も運転継続は可能とする結論を出した。その中で、敷地内の破砕帯が活断層かどうかは明らかにせず、運転継続を認めざるを得なかったのは、評価会合で意見を述べ合った2人の有識者、活断層だとする渡辺教授と、活断層ではないとする立命館大学の岡田篤正教授の意見が激しく食い違ったためである。つまり、科学的根拠は不十分で、活断層であることの証明はできなかったということであろう。

一方、敦賀原発の敷地にあるのは活断層だと断定されたが、その評価会合では反対意見を持つ専門家らとのまともな議論は行われていない。専門家同士の闊達(かったつ)な議論がない中での判断が、果たして真に科学的、かつ公正だといえるのか、疑問である。

敦賀原発に関して、同原発を保有する日本原電は、規制委員会側による活断層との断定に反論すべく詳細な調査資料を提出した。だが事業者側の資料はかえりみられなかった。日本原電は更に米、英、ニュージーランドなどの専門家らから成る2組の海外チームに委託したレビューを発表した。日本のメディアは余り伝えなかったが、同レビューは規制委員会の結論を疑問視し、少なくとも、更に詳しい調査をすべきだと指摘した。

反対意見を無視した性急な活断層の決めつけや原発再稼働を認めないとの結論は、規制委員会や有識者による評価の公正さを疑わせる。菅氏の予言した原発全廃を目指すかのような原子力規制委員会、及びその傘下の人々の主張を厳しく検証しなければならないゆえんである。

安倍首相の責任が、科学と合理に基づくバランスあるエネルギー政策の推進であるのは言うまでもない。

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