2014-01-17

核拡散に加担する被爆国

3年前から国内の核拡散を指摘した筆者ですが、国が進めようとしていることは本当にリスキーな愚行だと思います。こうなったらUAEやトルコの一般市民にフクシマ周辺の惨状を知らせるしか手立てはないでしょう。誰かネットを含むあらゆるメディアを駆使して現地の言葉でやってくれないものでしょうか。
『原発輸出協定 核拡散が心配になる』 【1/15東京新聞】

安倍政権は、原発輸出の前提となるトルコとの原子力協定に、核燃料の再処理を認める記述を盛り込んだ。外相は国会で、それを否定していたはずだ。被爆国日本が核拡散の懸念を広げていいのか。

核物質や原子力に関連する機材の輸出に際しては、相手国との間で原子力協定を結ぶ。核不拡散の観点から、平和利用に限るという約束を取り付けるのだ。

原子力には常に、軍事転用の危険が付きまとう。

日本は米国や韓国、中国など十二の国や機関と協定を結んでいる。原発の輸出を「成長戦略」の重要な柱と位置付ける安倍政権は、アラブ首長国連邦(UAE)に次いで、トルコとの間で二国間協定に署名し、国会の承認を急ぐ。

インドやブラジルとも交渉を進めている。

トルコでは、三菱重工やフランスのアレバ社などによる企業連合が、出力百十万キロワット級四基のシノップ原発を建設する計画が進んでいる。総事業費は二兆円規模になるという。

最大の問題は協定で「両政府が書面で合意すれば、核物質の濃縮または再処理をすることができる」としたことだ。

つまり、意思さえあれば、プルトニウムを取り出して、自前の核兵器を造る力を持てるということだ。トルコ側の強い要請があったというが、UAEとの協定では認めていない。なぜ、今回は特別扱いなのか。

岸田文雄外相は衆院外務委員会で「日本は認めない」と断言していた。だとすれば、協定の内容も修正されるべきではないか。

途上国では、開発に伴うエネルギー不足を補うため、原発建設計画ラッシュの状況だ。国内外に紛争の火種を抱える国もある。唯一の被爆国である日本が、核拡散に手を貸す恐れがあるような、振る舞いをすべきでない。

その上トルコは、日本と同じ世界有数の地震国だ。一万七千人以上の死者を出した一九九九年八月のトルコ大地震は、まだ記憶に新しい。

福島原発の事故原因には、いまだ不明な点が多く、後始末もできないままだ。国内で新増設のめどが立たないから、海外に打って出るのが「成長戦略」だとすれば、それで日本政府は胸を張れるのか。

過酷な事故や戦争の犠牲になるのはいつも国民だ。ヒロシマやナガサキ、そしてフクシマの精神に照らしても危険を拡散すべきではないだろう。

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