2011-08-24

『東日本大震災 海の放射能汚染/水産物への影響を見極めよ』 【河北新報】

河北新報社は悪くない新聞社(?)のようです。なかなか表に出ないか、政府自身と政府に言われたマスコミが隠している海産物の汚染の記事を書いていいます。やっぱり太平洋側の魚は北海道~静岡・愛知沖辺りまで、あるいはもっと広範に全滅を覚悟した方が良いのでしょうね。以下は全文です。
福島第1原発事故を受けて、欧州連合(EU)の欧州委員会が先ごろ、水産物を輸入する際の放射性物質の検査を強化するよう、EU各国に勧告した。
日本からの水産物だけでなく、日本近海や南シナ海、米国沖の太平洋を含む広大な海域で、他の国の漁獲物も対象とする厳しい内容だ。
遠洋で捕った場合でも、回遊性の高い魚種については厳密に調べるべきだと判断した。高濃度の放射性物質を含む水が海に放出されたことを、世界はそれほど強く警戒している。
今は原発に近い海域でも、放射性物質の海水中の濃度は減少傾向にある。一方で、海底への堆積は広範囲で続く。食物連鎖のより上位の捕食者である生物からも、放射性セシウムが検出されるようになった。
海の汚染の構図は変わりつつある。国などが宮城、福島、茨城各県の沿岸から沖合にかけて実施中のモニタリングを徹底するとともに、水産物に今後どんな影響が出るのか、しっかり見極めねばならない。
最も深刻だったのは4月2~6日に、2号機の取水口付近の亀裂から、原子炉に由来するとみられる高濃度汚染水が海に流出し続けたことだ。
東京電力はこの時の汚染水の総量は520トンで、放射性物質5千テラベクレル(テラは1兆)が流れ出たと推測した。1年間に外部への放出が認められる濃度基準の2万5千倍に相当する。
海に放出された放射性物質は海水で希釈されながら移動し、長期的には海底に運ばれていく。「海は広大なので魚への影響は小さい」とする「安全説」は崩れ、魚介類や海底の汚染が次々と明らかになった。
暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超すセシウムが検出された魚は、5月半ばまでは表層にすむコウナゴ(イカナゴの稚魚)とシラスだけだった。
6月になるとアイナメやエゾイソアイナメ(ドンコ)、イシガレイ、7月にはヒラメと、海底近くにすむ上位の捕食者に広がる。ホッキガイなどの貝類も6月以降、基準値を超えた。
福島、茨城沖では海底土の放射性物質の濃度が、今月に入って最高値を更新したところがある。海底の小魚や甲殻類を食べるアイナメやヒラメに影響が及んだのは当然と言えよう。
水産庁によると、海産魚のセシウム濃度(食物連鎖の影響を含む)は、海水中の濃度の5~100倍に濃縮される。海水中の濃度が上がれば高くなり、下がれば徐々に排出され、50日程度で半減するという。
宮城、福島、茨城各県沖の表層から下層にかけての放射能濃度は先月末、国が調査した全39地点で不検出となった。だからといって、状況が改善していると見るのは早計だ。
海底土の放射性物質は、移動しにくいとされる。今後は回遊魚よりも、海底の生物を捕食する魚への濃縮が問題となろう。
水産物の厳密な調査を継続するのはもちろん、底層の海水や海底土に含まれる放射性物質の濃度の推移に、最大限の注意を払っていかねばならない。
2011年08月23日火曜日

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