『【社説】原発・自主避難 救う方途はないものか』 【11/27 中日】
原発事故の放射能を恐れ、避難生活を強いられているのは福島県の被災者が圧倒的に多い。が、栃木や茨城などからの人もいる。この隣県組が支援の“枠外”で今も苦悩している。救えないものか。
「ここを離れるしかない」
夫婦は自主避難を決意した。住まいは栃木県北部の福島県境の市内だ。東京電力福島第一原発から百キロ圏内。福島県の一部地点を上回る放射線量も計測していた。栃木も福島・宮城・岩手の被災三県の避難者の受け入れ県だ。3・11の被災地に違いないが、一方で支援する側でもある。
彼女も周りに「避難」とは言えず「夫の仕事の都合」を理由にした。さもないと「なぜ栃木から」と後ろ指をさされかねなかった。
あてはない。夫と日本地図を広げて探した。栃木に少しでも近く放射能におびえずにすむ地…。目に留まったのが愛知県だった。
自動車整備士の夫、幼い娘二人の一家四人で見も知らぬ小牧市に移ったのが昨年六月末。市や県に相談したが、被災三県なら家賃無料の公営住宅などは「対象外」とされた。普通の引っ越しと同じ。敷金、礼金を払いアパートを借りた。自治体も柔軟にできないかと思うが、原発汚染の線引きが難しい上に自主避難だから対応に戸惑うのもわからなくはない。
被災三県の県外への避難者は現在、約六万八千人。その85%を原発避難の福島が占める。愛知も受け入れ総数約千二百五十人のうち福島が最多で八百人余。三県以外からは約10%で、栃木、茨城、東京など七都県百三十人いる。これを基に推計すると三県以外からの避難者は全国に相当いそうだ。
公営住宅などの無料入居期間が国の要請でもう一年延びるのは朗報だが、彼女らは対象外。今回の震災は災害救助法(一九四七年)の活用で被災地支援が広がったのは確かだ。しかし財政負担力で自治体の支援には差も見られる。
ふるさとを「奪われた」福島の人と福島以外の人との間には避難の重みの違いは歴然とある。でも放射能への危機意識は共有できるはず。「同じ悩みを持つ仲間もできた。でも…」。住宅資金にと、こつこつためた預金はほぼ消えた、と彼女は悲しげに笑う。
六月に国会で可決した原発事故子ども・被災者支援法。避難者一般に住宅や就学、就業などを自治体が支援できる。実現すれば彼女のような自主避難者を救える道も見えてこよう。長い闘いだ。法の具体化に早く取り組んでほしい。
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2012-12-10
気の毒なフクシマ周辺避難民
被曝なんですから、行政区分で対応すること事態が間違っています。栃木とか茨城とか隣県には土人(農家)もいますが、こういった本当に気の毒な被害者もいることを忘れてはいけないでしょう。国・東電が聴く耳を持っているとは思えません。
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