2009-10-31

JAL(4) 待ったなしのハズなのに

筆者は3年前に大学の学部の同窓会で「あと3年でGMが潰れるので…」とホラを吹きました。その時に居合わせた50人ほどの参加者はほぼ一様に「何を言っているんだ」というような反応でした。でも、筆者が見た当時の財務内容と、一部簿外の医療保険・年金の積立状況と見通しから、破産法Chapter11申請は時間の問題だったのです。

同じことをJALでやってもよいのですが、以前述べたように面倒くさいのでそれは冨山さんに任せたつもりです。今後、ダラダラと労働組合や、多分子会社等いわゆるステイクホルダーとの交渉が続き、痛みの分かち合いの妥協点を探ることになるのでしょうが、恐らく米国の航空会社や自動車会社のコピービデオを見るような展開になると予想されます。

ポイントはリストラの費用が調達できるかどうかなのですが、JAL単体の本業では無理です。西松とかいう社長では面を見ただけでも到底無理だということは賢明な読者の皆様にもお解かりでしょう。コストを掛けて戦線を縮小してより一層のキャッシュを獲得することができるのは健全な 民間企業だけ です。パラサイト集団に自力再建は無理なのです。だからといって公的資金注入が許されるのでしょうか。今回の政府主導の再建は事実上の民事(?)再生なのです。

2009-10-30

JAL(3) 廃業が妥当

JAL再建策が出されたようですね。

内容を見ていないのでコメントできません。冨山さんがメンバーですからちゃんとしたものなのでしょうが、詳細の公表は差し控えさせられているとか。氏の「会社がなくなってしまうほどの危機的状況」という表現から、まともな再建策であることが推察されます。

マスコミも相変わらずです。3,300億円の年金積立不足は良いが、少なくともそれが全体に対して何割とか、9,900億円の有利子負債を過去10年程度の損益と比較するとか、もう少しましな表現は無いものなのでしょうか。あっ、これも国有企業のニュースだからしょうがないですね。

家計に例えると、9,900万円の家のローンが残っているのに、毎年500万円ぐらい(06年度の再建計画より)しか返すことができず、老人介護のための貯金が3,300万円も足らないという火の車状態だということです。で、挙句の果てに破産申請というものです。

結局GMの破産法申請と変わり無い(JALの場合は再)国有化 ということです。また税金使うのですね。一思いに潰した方が良いと思いますよ、普通…

2009-10-29

最近来たくせに

筆者は今年職場を変わって(社内異動)います。最初の3ヶ月は様子見をしていましたが、ご他聞に漏れず無駄の宝庫でしたので、ちょこちょことアドヴァイスをしてきたのですが、先日酷い言葉を浴びせられました。それは、「最近来たくせに偉そうに言ってんじゃねえ!」(逐語表現)というもので、読者の皆さんご想像どおり、痛いところを突かれた古参社員の捨て台詞でした。筆者は悲しくなり、「職場でそういう言葉遣いは控えられた方が良いですよ」と発言するだけに留めました。こんな乱暴な人にも年功でそこそこの給料を払う訳ですから、そりゃ業績も傾きますわな。まぁ、このまま挽回策も講じずに1,2年で会社を去る訳ですから、そっと問題の先送りを看過して差し上げても良かったのですが、余りにも冷静に指摘をしたための結果だと珍しく少し反省してはいます。ここは友好的に職場の仲間として 赦してやる というのが勤め人としてのマナーなのでしょうか。

2009-10-28

書き間違い

マスコミや若い人の使う言葉で気になるものを2,3挙げてみます。
  1. 「間違え」
    もう10年近く前に入社3年目辺りの男の子から聞いたのが最初です。「間違え探し」なんて聞いたことがないし、これは何かの間違いですよね。

  2. 「大(おお)地震」
    チャールトン・ヘストンの映画はだい地震だったような気がしますが、某国有放送は「おお」と発音することに決めたようです。新しい(原則は誤りとされる)湯桶読みですね。3文字湯桶読みは大騒動ぐらいで、大(おお)惨事とか、大(おお)爆発とか、大(おお)失敗とか聞いたことがありません。

  3. 「希少価値が高い」
    「希少性が高い」ならまだ良いのですが、普通は「希少価値が有る」ではないでしょうか。

  4. 「だから」「なるほど」
    年下の男の子から聞くと、殴ってやりたくなります。解らない人が多いのでしょうねー。
読者の皆さんはいかがですか?

2009-10-27

暇つぶし

暇つぶしをする勤め人には2つのタイプが存在します。

一つは暇つぶしのために会社へ出るタイプ、2つ目は会社へ出て暇つぶしをするタイプです。一見似た表現の両者には大きな違いが存在します。

[ 暇つぶしで出社 ⇔ 出社して暇つぶし ]
  • 新しい仕事を探す ⇔ 与えられた仕事をわざとゆっくり遂行
  • 関係者との情報共有を希望 ⇔ 上司にもやっていることを隠す
  • もっと速くなれると思う ⇔ 自分が人並み以上の快速だと自負
  • メール好き ⇔ 電話好きで無駄話が多い
  • せっかち ⇔ 時間切れ狙い
  • 記憶力良し ⇔ 大事なところで忘れる(振りをする)
結局は、快速 ⇔ 鈍足 と要約されるようです。流行の表現を使えば、快脳と鈍脳とでも言いましょうか。プライベートでも快速なので、暇が多くなるのでしょう。Time is moneyも対象的で、鈍足は、鈍足を活かし、長く会社に居ることで時給を稼ぐようです。まさに暇つぶしならぬ穀潰し(石潰し=パラサイト)と言うか 社畜 ですね。中間も居ますが、こんな水と油が同居するのが会社なのです。

2009-10-26

衣食住(3)

補足の続きです。
  1. 衣食は再生産可能だが、住はそうではない(土地は有限である)ために希少性が高まる
  2. 日本においては、伝統的に、人生のある段階で持ち家をすべきだと考える国民が多い
  3. 生涯所得獲得が不安定だと予想される中で、一大イベントの持ち家の妥協点模索は困難
2. と3.に関して言えば、持ち家志向に若干の変化が見られます。供給過剰な状況下、優良な物件も有り、借り手市場になってきているのではないでしょうか。しかし、まだまだ持ち家志向は根強く、人口は減りながらも世帯数はさほど減っていないというような状況下、コストに関しては以下のように表現できるのではないでしょうか。
  • 親から相続した土地家屋が有れば幸運だが、家屋は少なくとも劣悪な(狭いとか、デザインが古いとか、リフォームに値しない)ものが多く、立て替えることが多い

  • 新規購入の場合は、相場が落ち着いてきているとは言え数千万円の出費を覚悟せねばならず、生涯年収に対する比率が高すぎる
    (例) 建蔽率30%の第1種住専の土地+延床42坪の二階建住居の場合、70坪の土地代(100万円/坪)と3,000万円の上屋でちょうど1億円、これに外構の費用や、借入金金利が上乗せされる
よく「人生の最大の買い物」と言われるようなこんな大きな出費を捻出するというのは大変なことです。その原資、いわゆる可処分所得は、獲得した報酬からボッタクリの税金やねずみ構のような年金掛金を引かれ、やせ細っています。さらに、その可処分所得から生活費を拠出し、残余からやりくりしているのが現状です。こんなところには衣食住の先の「楽」のための資金が残ったり残らなかったりするのもまた事実なのではないでしょうか。

筆者と一緒に、楽しんで暇つぶしをしてくれる人が少ないのも納得できるというものです。

2009-10-25

衣食住(2)

昨日、衣食住の中で「住」のコスト/可処分所得の比率が高いと書きましたが、この点に関して思いついた点を列記しておきます。
  1. 衣食は再生産可能だが、住はそうではない(土地は有限である)ために希少性が高まる
  2. 日本においては、伝統的に、人生のある段階で持ち家をすべきだと考える国民が多い
  3. 生涯所得獲得が不安定だと予想される中で、一大イベントの持ち家の妥協点模索は困難
それぞれ補足します。
  1. 衣食は、再生可能です。自然界に存在する構成分子を再構成するだけだからです。再構成は植物・動物による生物学的な化学反応を利用したり、熱や力のエネルギーを人為的に加えて行われています。消費・老朽化による遺棄が発生しても、構成分子レベルでは地球上のどこかに存在しますので、大きく分けて2つの方法で使用価値を生み出すことが可能です。2つの方法とは、別の用途に使用するリユース、形を変えて別のものを作るリサイクルのことです。一方「住」は建物部分の使用価値維持・創出はできますので再生可能なのですが、土地は再生可能としても、創出は、地球上においては埋め立てか、高層化でしか可能となりません。
余談ですが、食材をリサイクルの観点から考えた場合、美味しいものは美味しい構成要素あるいはそれらの美味しい再構成がなされているものということと考えられますので、生で食べられる食材は実は生物学的な分子再構成のプロセスの中で既に調理済みと言うことができるでしょう。長くなりそうなので続きは明日以降にします。