2014-08-27

判決文による東電の責任明確化

こういった精神的苦痛も、実害である健康被害もお金で解決できるものではありません。いずれももとには戻らないからです。精神的苦痛で勝訴できたということは、健康被害も、フクシマ県のように隠したりせず、詳らかにしさえすれば連戦連勝でしょう。東電に支払い能力が無いのは自明ですので、JALのように一時国有化するという筆者の事故直後からの主張は正しかったということです。
『避難者訴訟:自殺「原発事故が影響」 東電に賠償命令』 【8/26 毎日】

2011年3月の福島第1原発事故に伴う避難生活中に自殺した女性の遺族が東京電力に約9100万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁(潮見直之裁判長)は26日、「自殺と原発事故との間には因果関係がある」と認定し、東電に計約4900万円の賠償を命じた。原発事故後の避難住民の自殺を巡り、東電の賠償責任を認めた初の司法判断となる。

原告は、渡辺はま子さん(当時58歳)を失った夫幹夫さん(64)と子供3人。

判決などによると、原発事故後の11年4月、自宅があった福島県川俣町山木屋地区が計画的避難区域(当時)に指定され、福島市のアパートでの避難生活を余儀なくされた。同年7月1日朝、はま子さんは一時帰宅した自宅の庭先でガソリンをかぶって火を付け、死亡した。

遺族は12年5月、自殺は原発事故が原因として提訴。はま子さんが避難後に抑うつや食欲減退などうつ病の兆候を示すようになったと主張し、自殺と事故の因果関係の有無が最大の争点となった。

判決で潮見裁判長は、はま子さんが山木屋で生まれ育ち、事故で避難するまで生活してきたことなどを考慮し「自宅での家族の生活、地域住民とのつながりなど、生活の基盤全てを失った」と指摘。仕事を失ったり、帰還の見通しが立たなかったりしたことなども含め、「強いストレスを受けた」と判断し、自殺との関連性を認定した。

そのうえで、「東電は原発事故を起こせば核燃料物質などが飛散し、居住者が避難を余儀なくされ、精神障害の発病や自殺につながることも予見できた」と指摘し、自殺と事故の因果関係を認めた

東電側は「はま子さんはストレスへの耐性が弱かった」などと主張していたが、判決は「耐性の弱さは、受けたストレスの強度を増幅する効果をもたらしたに過ぎない」として、事故の自殺への影響度合いを8割と認定。はま子さんが生きていれば得られたはずの利益や慰謝料などを計約5500万円と算定し、その8割と弁護士費用を賠償するよう東電に命じた。

原発事故後の自殺を巡っては、国による原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き(原発ADR)で遺族と東電が慰謝料の支払いで和解したケースもある。今回の訴訟で潮見裁判長は双方に和解を勧告したが、遺族側が「判決で東電の責任を明記してほしい」として応じなかった。【喜浦遊】

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